コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

喫茶店を開店したい専業主婦の悩み~専業主婦の夢を実現する嫁と姑のコミュニケーション~


「大学を出て、すぐに主人と結婚して子供を設け、夫のため、子供のためにとずっと専業主婦と専業母に徹してきた」という林田さんが、はじめて自分の力だけで西洋人形を展示した喫茶店を開くという目標を立てました。

「西洋人形を展示した喫茶店を開くというのは、若いころからの夢だったの。でもずーと専業主婦と専業母だったでしょ。そんな私に出来るかしら?」と、子供たちのお嫁さんにプランを打ち明けたところ、お二人のお嫁さんたちは、すぐさま「応援します!」「お手伝いします!」と、乗ってきてくれたと嬉しそうでした。
ところが、順調そうに見えていた準備が、なぜかなかなか進まなくなっています。
お話を伺うと、メニューにゼリーをどうしても入れたいのだけれども、それはおかしいだろうか?
コーヒーをお出しするのはお嫁さんが得意だけど、ゼリーを召し上がっている隣の席でコーヒーの香りがするのはどうかしら?
など、たいへんな迷いようです。
目標である喫茶店を開くという期日は、来年の十月と決めてあります。
当初障害になるであろうと思っていた改装資金は、貯蓄を取り崩すことでクリアした矢先のこと。やはり、専業主婦にはムリなのかしらと、ずっと悩んでしまったままでした。
あんなに楽しかったのに、今ではそう思っただけで満足してやっぱり専業主婦でいこうかしらと後戻りしようかと思い始めています。

そんな時、お嫁さんの一人が姑である林田さんに話しかけました。
「お母さんは、このごろ何を迷っていらっしゃるんですか?
頂上(開店)まではまだまだ遠いけれども、確実に前に進んでいますよね?」
「私たちに今、出来ることは何かないですか? お母さん一人で考えないで、私も今すぐお手伝い出来ることを言っていただけると嬉しい」と、手伝いを申し出てくれたのでした。

「実はメニューにゼリーを入れたいんだけど、どうだろうかと、あれこれ考えているうちに混乱してしまって何がなんだか分からなくなってしまったの」
「お母様の夢は喫茶店を開くということでしょ。それなら、ゼリーとコーヒーの両立したお店というのは、どういう形になるのか考えて見ましょうよ」

「そして、その場合、どうしたら問題が解決するのかを考えればいいんじゃないですか」
目標を達成するために、障害になる問題は何か?解決するために使える資源は何かを考えるきっかけをつくってくれたのです。

実は、林田さんは、コーチングを学習してあしかけ二年のベテランだったのです。
うっかり、自分のことになると、コーチングを機能させることを忘れて突っ走っていたのですが、改めてコーチングを身近に感じ、セルフコーチングしながら、来年の開店目指し、準備を快調に進めています。
「専業主婦・専業母だってやれば出来る!」と喫茶店のカウンターに立って胸を張っている自分の姿を夢見ながらゴールに向かっています。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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夜の通勤電車内でのコーチング~車内での会話の紹介~


「だぁめだよ、あの人。あの人は、何でも自分の思い通りにしないと気がすまないからさぁ・・
あの会議、何だった?最初から結論ありきでさ、結局、皆が合意させられただけでしょ?
あの人は、結局、部下を潰すタイプだよなぁ・・・」
そんなに遅い時間ではない電車の中で、よほど腹に据えかねたのでしょう。さほど、悪酔いしているふうでもないビジネスパーソンは、一気に心の中を吐き出すようにしゃべり続けました。
一緒に電車に乗っていた同僚と思しき社員との会話を紹介しましょう。
この同僚と思しき相方が、コーチングを勉強していたかどうかは不明です。もし、学習していらっしゃらないとしたら、根っからコーチングの素養を見に備えているネイティブコーチャーなのでしょう。
でも、このやり取りは、まさに、コーチングを学んだ方だと思いました。皆さんなら、どんなコーチングを組み立てますか?

「そうだよね。あの部長は君の言うとおり、まさしく部下を潰すタイプだよ」
「そうだろ?そう思うだろ?ほんと、やってらんねんよなぁ・・俺たちがこれまでどんなに根回しして、みんなの同意を取り付けていたと思う?」

「そうだね、確かにね。同意を得るために、君はとても頑張ったよね。通常業務以外にもよく頑張ったね。それを認めてもらえないのはきついよなぁ」
「だろ?俺、あの人の下にいる限り、もう出世出来ないと思う。だって、顔に出ちゃうもんなぁ・・あの人のやり方についていけません!って態度にも出ちゃう」

「そうかぁ・・つらいなぁ・・。ところでさ、それなら、転属願い出してみたらどうかな?」
「え?転属願い?」

「知っているだろう?うちの会社、このごろ、自分で勤務先や仕事を選べる制度が出来たっての」
「ああ、知っているけど・・・なんで自分が動かなきゃなんないんだ?」

「あの人が、出て行けばいいんじゃねえの?」
「だけど、あの制度は、人を動かしてもいいという制度じゃないでしょ?」

「そりゃぁ、そうだけど・・」
「君のためにならないなら、この支店にずっといなきゃいけないことはないよ?人との問題は、相性もあるからね。君は、あの部長と一緒になって、初めて挫折感を味わったから、今まであったどんなことよりも、今、我慢出来なくなっているだけじゃねぇの?」

「そうかなぁ・・でも、お前だってさっき言っただろ?部下を潰すタイプだって」
「たしかに、あの件では、結論ありきの会議になったし、根回ししていたお前のことだって、慰労してないからな。そういう意味では、部下を潰すさ。だけど、じゃぁ、部長はすべてにおいて部下のためにならないことばっかりしてるかな?」

「・・・・」
「お前はお前のやり方を変えようとしてなくて、真っ向勝負って感じでぶつかっているだろ?部長からみたら、どう思うかな?」

「部長から見たら、面白くないだろうな?でも、このあたりは、何でも先に根回ししておく必要があるし・・。そんなことも知らないで荒らされて、部長はちょっとしたらまた転勤だろ?残された俺たちはどうしたらいいんだ?」
「部長の言うとおりにしていたら、取引に影響するかもしれない。だけど、俺たちは、転属を希望しなければここにずっといられるさ。ということは、日々の付き合いは、俺たちがずっと築き上げてきた人とのつながりがある。ちょっとやそっとで関係が崩れるような付き合いにならないようにしたらいい。それより、部長と事前の打合せはやったのか?」

「いや・・俺、あの部長苦手だからさぁ、なるべく話したくないからさ、朝礼終わるとすぐに客先周りに出て、夜もゆっくり帰ってくるようにしているんだ。大事なことは、メールで話しているから問題はないさ」
「そうだな。メールは情報の共有は出来る。でも、それだけでいいかな?」

「それだけって?」
「つまり、今回、もっと早く部長と話したら、結論がずれていることに気づいたんじゃねえの?」

「確かにな。そうだな・・・部長がああいう結論だとは思わなかったしな」
「部長は、確かに自分の出した結論を押し通そうとした。それは誰が見てもそう感じるだろうさ。だけど、それを確認しないで根回しをしていた君にも、問題があるんじゃないかな?一度、部長と話してみたらどうかな?」

「でもなぁ・・・。俺、この間の会議で、噛み付いちゃっただろ?いいかなぁ」
「一人で話しづらきゃ付き合うよ。どうする?」

「そうだなぁ・・・そうしてもらおうかな?」
「イツがいい?」

「早いほうがいいかな?俺、嫌われてたらいやだし・・」
「まぁ、相手の気持ちが分からないのに心配してもしょうがないさ。あたって砕けないようにしようや」

「そうだな。なんだか、気持ちが楽になったよ。一度、この間のこと、誰かと話したかったと思ってたし。でも、誰に話していいかわからなかったし。忙しそうだったし」
「あんまり気を使うなよ。話したいときは、そう言ってくれればいい」

「すまんな・・・じゃ、俺ここで降りるわ。かみさんが迎えに来てるから」
「おやすみ」
「おやすみ」

この間、二十五分くらいだったでしょうか?
最初は愚痴を我慢しきれず、大声で吐き出していた男性Aさん。電車は大勢の人が利用する公共の場所であることもわきまえず、言いたい放題。これ以上続いたら、おせっかいでも声をかけてしまおうかと思ったくらいでしたが、同僚の方が控えめながら、冷静に話をリードしてくださったお陰で、電車内の空気がほっと緩んでいきました。
今年もまもなく新社会人の入社式。
どうぞ、新社会人が未来に夢を描き続けること
が出来ますよう、今、すでに企業を支えるビジネスパーソンの皆さんの、いきいきした顔を見せてあげてください。
働くことは辛いことですが、苦労をするから人は成長するのですから。仕事を通して自己成長、感じてみてください。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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板前修業に入って三年目。~他者の感情を理解する~


日本料理が大好きで、いつかは自分の店を構えたいと思っている神山君。
高校卒業と同時に、料理の世界に足を踏み入れた神山君ですが、このごろ元気がなく、コーチをされているお母さんに紹介されて、セッションすることになりました。

「こんにちは。お休みをつぶしていただいて、恐縮です。ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、急なお願いをしてすいませんでした」

「今日は、どんなことをテーマに話しましょうか?」
「はい、今後の進路のことをちょっと考えたいんですが、いいですか?」

「そんなに硬くならなくてもいいですよ。何か緊張でガチガチになっていますね。神山さんは、お仕事で緊張するのはどんなときですか」
「そうですね。板場の中でも、板場のものの食事『賄い』を作るときは緊張します。同じ道を志す下っ端が先輩のための食事を用意するわけですから。実力とアイデアを試されているようで、とても緊張するんです」

「そうでしょうねぇ・・。どんな『賄い』がお得意ですか?」
「得意なのは野菜たっぷりの雑炊です。魚のアラでだしをとり、野菜の切れ端を細かく切って、卵だけは料理長から分けてもらいますが、他は、すべてお客様にお出しした料理の材料の残りというか、切れ端でやれるようになりました」

「そうですか。素敵ですね・・見習わなくちゃと思います」
「それはいいんですが、このごろ料理長が僕に何も言わなくなったんです。僕より下の新人にはいろいろ言っているのに、僕は何をしていいのかわからず戸惑う毎日なんです、僕は、料理長の気持ちというか、阿吽の呼吸で動くことが出来なくて・・・板場にいるのが苦痛なんです」

「うん、辛いですねえ」
「・・・・」

「お料理の世界を志したのは、どんな自分を思い描いたからでしょう?」
「僕は、母一人子一人で。いつも母は夜遅く仕事から帰ってきて食事の支度をしてくれていたんです。だから、大きくなったら、いつか母に食事を作ってあげようと思って。それなら、いっそ料理人になって自分の店を持って、母においしいものを作ってあげたいと思ったんです」

「素敵な夢ですねえ。お母さんをうらやましく思います。神山君は優しいのねぇ」
「中学でまったく勉強しなかったし、家は経済的に難しいから高校へいけないと思っていた。でも、母は一生懸命に働いて、高校へはどうしても行けと応援してくれて。自分もバイトして頑張って卒業しました」

「そう、苦労したんだネェ」
「親父を恨みました。親父がしっかりして、離婚してなければって」

「そうですね。ご両親には何かの事情がおありだったわけでしょうからね」
「僕、親父がいないから、歳の大きい人との話をどうしたらいいかわからなくて・・」

「料理長とのこと?」
「はい、料理長もだけど、先輩とかも。怖いんです、話し方が。いつも怒られている様で」

「そうかぁ、それは困ったネェ。ほんとうに怒られてるの?」
「そういう時もあるし、そうじゃなくて、仕事の指示を出されてるだけのときもあります。僕がわからないんだと思うんです」

「今年入ってきた後輩はそれがちゃんと出来るってことですか?」
「はい、『べつに料理長は怒ってないんじゃないっすか?』ってこともなげに言うんだけれども、僕にはどうしてもそう思えない」

「そうかぁ、それは辛いね。一つ聞いてもいいかな?」
「はい」

「料理長の表情ってどんな感じか観察したことはある?」
「表情ですか?」

「いつも、まじめな顔をされています」
「そうですか、まじめな顔ですね?先輩方は?」

「先輩は、料理長と同じようにまじめな顔」
「なるほど。お母さんのというか、女性の表情と比べて、何が違うと思う?」

「女性の表情ですか?」
「そう、例えば女将さんとの違いは?」

「うん・・・難しいなあ・・・。女将さんは・・・」
「私が想像したことを話してもいい?」

「はい」
「女将さんは、いつも笑顔。おかあさんのイメージも笑顔。だから、何も抵抗を感じないけれども、男性は笑顔をほとんど見せず、まじめな顔をして、お仕事を黙々としていらっしゃるんじゃないかしら?」

「ああ、確かに・・・。先輩とは、まだ、手が空いたとき話をして笑う顔を見たことがあるけど、料理長とは、そんなふうに時間を過ごしたことはないですねぇ」
「そうだね。だから必要以上に緊張しちゃうんじゃないかな?」

「そうかもしれません。後輩は、それが出来ているような気がします」
「それが出来ているというのは?」

「僕も1年目は、料理長から直接、いろいろ教わったことがあるんです。包丁の入れ方とか、鍋の磨き具合をチェックしてもらったりとか。もちろん、そういうときは、厳しい顔しても当たり前だと思ってました」
「どうしてそういう時間が減ったのかな?」

「仕事場で、一応、自分で動けるようになったからだと思うんです」
「それは、成長したということだよね。誇りに思っていいじゃない?」

「そうかもしれない。でも、料理長と話せないで、阿吽の呼吸も持てないし。どうしたらいいんでしょうか?」
「厳しいことを言ってしまうけど、学校じゃないから、声かけてもらうまで待ってちゃだめなんじゃないかな?」

「自分から、話しかけて迷惑じゃないでしょうか。僕は、人から話しかけられるのが嫌いなんですが・・・」
「迷惑だなんて心配することはないと思うわ。料理長はあなたが成長しているから、手取り足取り、何から何まで指図されて動かさなようにと考えたんじゃないかしら?料理長は神山君に任せて話しがあれば聴こうと考えているんだと思うわ」

「自分から、どう話しかけたらいいんでしょうか?」
「神山君はどんなことを話したいの?」

「そうですね、いろいろ聞きたいけど、技術のことかな?まだまだ、覚えなきゃいけないこと、いっぱいあるし。あと、材料のこととかも」
「なるほどね、いろいろ教えていただきたいんですが?って、自分から声を掛けてみたら?」

「え?だって、料理長はお忙しい方だし・・」
「もちろん、調理している最中はだめだよね?だとしたら、いつならいいと思う?」

「ああ、そうですね。お昼休憩のときとか?仕事が終わって帰り道とか?」
「そうだね。声をかけてもいいときがいつなのか?1週間、観察してみようか?」

「そうですね。やってみます」

年齢の違う父親のような上司や先輩との付き合いにまごつかないようにするには、子育て中の父親はどう接していけばいいのか。
子育て過程の中でのお父さんの役割、改めて感じました。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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社長時代とのギャップに悩むNPO法人の理事長さん~利益を上げる組織から、利益最優先でなくてもよい組織のリーダーの役割の変化を考える~


NPO法人を設立し、地域社会の子育て支援をしている理事長の堀口さんは、元は会社の社長さんでした。
会社は、息子に譲り、自分はこれまでの恩返しに、地域のお役に立ちたいという思いをもって、NPO設立に奔走したのです。
非営利を目的とした活動団体なので、事業から利益を出す必要はありませんが、メンバーのモチベーションを下げないようにするためには、ある程度、運営している皆さんに利益を出す工夫をさせ、自分たちの活動が価値あるものであることを感じてもらうことによって、参加意欲をますます高めようと思っていました。
子育て中のお母さんと子供のために、腹話術の人形劇や、絵本の読み聞かせなど、親子のふれあいを大切にした事業を中心に計画したのですが、参加費の徴収を巡って、他の会員を説得しようとするが意見が合わず、このごろ疲弊気味であるとのことでした。

「堀口さん、相変わらず、皆さんの反応が鈍くてお苛立ちですか?」
「はいコーチ。相変わらずです。『ボランティア団体が利益を得るなんて、もっての他、理事長が以前に社長をされていた会社とは違うんです』とまるで相手にされません」

「残念ですね・・」
「残念と言うより、もう、かかわりたくないという感じですね」

「かかわりたくない?」
「はい、何を言っても分からないんですよ。主婦の感覚と言うか、所詮、閉鎖的な女性の考えで支配されている団体で、あきらめました。長期的なビジョンも描けないで『奉仕奉仕』と言いますが、彼女達は自己満足を感じることで精一杯だから・・・」

「うん・・・厳しい言葉がたくさん並びましたね」
「何年やっても変わらないんじゃ、何のためにやっているのか?自己成長がないんですよ」

「自己成長がないんですねぇ・・・。堀口さんは、自己成長を感じたくてこの活動を続けているんですか?自己成長って必要ですか?」
「コーチ、人間は、生涯成長したいという気持ちを持っているはずですよ。だから、人間なんでしょ?自己成長を続けるには、学習したり、目標を立てて行動して結果を残すしかないですよね?でも、それを放棄してしまう人たちもいるっていうことが理解出来ただけでもう十分です。今度の総会をもって理事長を退任させてもらおうと思っています」

「堀口さんの胸の内は、すでにお話したんですか?」
「いえ、別に言う必要もないでしょう。皆さん、同じ考えなので私がいないほうが、むしろ『和』が保てていいと思っていると思うんですよ」

「そうですか・・・残念ですね・・・」
「でも、仕方がありませんよ。寄り合い所帯じゃ、出来ることも限られていますからね。私は私にしか出来ないことがしたいので、また、別の角度で地域にお礼の出来る活動をしようと思います。まあ、私には、まだまだたくさんの時間があるので、何とかなると思います」

「皆さんと話し合う時間を、改めて持つことは出来ないのでしょうか?」
「持ったって無駄だから持とうと思わないだけです。感覚が違うんですね」

「この活動をしたいと思ったきっかけというか、意欲は、まだ小さくなっているわけではない。でも、周りの人の賛同を得られないのであきらめる・・というのは、少し淋しい気がしますね。今度は一人でやられるおつもりですか?」
「以前社長をしていた会社では、社員は、いつも私の戦略やビジネスモデルどおりに行動し、常に成果を挙げてきました。私は、今回の活動でも、だからあえて皆さんが嫌がるリーダーを引き受けたんです。皆さんもそれがいいと認めたからしたんです。それなのに、私が実際描いた事業を進めようとした途端、それは理想だとか、そんなことをしたら理解されないのではないかとか、ブレーキばっかり掛けられて。挙句、『堀口さんの常識はちょっとわれわれとは違う』と言われても・・・。むなしいですね」

「そうですか・・・以前社長をしていた会社の社員さんと今のNPO法人の会員さんとを比較して、そのように感じられるんですね。ところで、堀口さんの描くNPO法人の活動って、一般的にどう捉えられているんでしょうかねぇ?」
「一般的に見る?・・・必要があるんでしょうか?なんでもそうだけれど、それぞれであっていいんじゃないですか? 
NPOは利益を出しちゃいけないわけじゃないないでしょう?利益を出してもそれを還元すればいい。大事なことは高い意欲を維持することじゃないですか?やりっぱなしになったり、途中で放り出さないようにすることが重要だと思うのです。
企業活動ではないだけに責任が分散しやすいから、より厳しいルールや規範にのっとって行動することが求められると考えていたのですが・・・」

「そういう、堀口さんの気持ちを皆さんに分かるように説明したことはありますか?」
「最初の頃はしていたと思います」

「その頃の堀口さんの気持ちと今の気持ち、何が違っているのですか?」
「会員のみんなが私の言うことについてきてくれないので、むなしさが益々大きくなっていると言うことでしょうか?」

「理解してもらえないから?」
「はい、理解する能力がないわけじゃなくて、理解しようとする心がないことを感じて更にむなしいかな?」

「以前、会社の社長をされていたときは、社員の方は、堀口さんの言うことを理解しようと努められていました?」
「それは、そうですよ。社長の私の言うことですよ。理解しようとつとめないで、どうするんですか。当たり前ですよ。それにひきかえ、NPOの連中は、理事長の私の意見を聞こうともしないんですよ」

「そうですか・・・残念ですね・・・」
「はい、でも、また新しいことを考えるチャンスを得られることになった。そう考えれば、気持ちは晴れますから大丈夫です」

残念ですが、堀口さんはこのNPO法人の理事長を退任し、今は新たな計画を立てることに専念しています。コーチングセッションのテーマも、どうしたら地域の人に貢献出来るか? どうしたら、皆のやる気を高めることが出来るのか? ということに終始しています。
元経営者としての堀口さんの意欲や能力の高さには敬服しつつも、上下関係や雇う人と雇われる人の関係ではない、横のつながりにおいてのコミュニケーション能力をあげることの重要性を感じていただけるよう、次回のセッションではテーマを絞ろうと心に誓うコーチでした。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
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脱サラマスターの苦悩~苦手意識をなくし、コミュニケーションを考える~


コーチングを受けて早二年が過ぎた錦織さんは、喫茶店のマスターです。
喫茶店激戦地域とも言われる地域での厳しい競争の中、マスターこだわりの店になっているせいか、常連のお客様が多く、皆様思い思いのコミュニケーションの場になっています。
このごろは、定年退職された男性のお客様がモーニングの時間に多く来られるようになり、急に自由になった時間を持て余しているのか時間つぶしに長く店にいらっしゃいます。店内はお昼までの待合室の様相を呈する時間もあり、これまでとは少し雰囲気が変わった気がすると、こぼしていました。
ところで、最近の午前中の、このなんとも重苦しい雰囲気は、自分の意図している喫茶店の雰囲気とは全くことなるもので、マスター自身も居心地が悪いと、セッションのテーマに選ばれました。

「このごろは喫茶店の経営そのものに関するテーマが少なくなっていましたが、今日は珍しいですね」
「ええ、今日だけで解決するような問題ではないように思います。とにかく、この朝の重苦し
い雰囲気を変えたいんですが、さりとて、男性のお客様入店お断りというわけにはいかないですからネェ・・」

「どんな点が一番気になるんですか?」
「覇気がないというか、活気がないというか、とにかく雑誌や新聞をたくさん席に持ち込んで、コーヒーを飲み終わると、水だけで場所を占領する。まぁ、朝早い時間は、お客様が多いわけじゃないし、ビジネスマンが利用する時間帯よりは少し遅れて入ってくるので、むしろ、売り上げは増えているんです。ただ、とにかく空気が重くなるんですよ・・・」

「空気が重くなる。それが一番気になる点ですか?」
「ええ、元気がないし、会話がない。オーダーを受ける際、『モーニング』といったまま、後はお水のお変わりを注ごうが、カップをさげにいこうが、とにかく黙ったまま。たまに話しかけてくるお客さんがいるかと思うと、景気はどうか?とか、新聞が汚れているとか、雑誌の次の発売日はいつかとか。あるいは、政治の話で、こちらは客商売なんだから、お客様と議論するわけにはいかないんだから、『そうですね』、『いいですね』と相づちを打つだけにしていると『あんた、何にも考えてないのか?』なんて意見されてしまう。この間なんか『マスターはなんにも考えないでコーヒーを出していればいいんだから、いいよな』『我々が苦労して働いてきた上前をはねているんだから・・・』『定年後の我々にいままでありがとうの気持ちはないのかね。もっと、まじめに受け答えしろよ』って怒られてしまったんですよ。午後の食事過ぎにいらっしゃる主婦のお客様のご近所ネタも困るけれども、こちらのほうが、まだ、雰囲気が華やかなだけに、居心地はいいんです」

「なるほど、主婦の客層と、男性の客層ではあきらかな違いがあるんですね」
「そうなんです。どっちがいいとか悪いとかじゃないけれども、好きなのは、午後の主婦のお客様のほうですね。答えるのに困るような質問はめったになく、どちらかというと、私を相手に、愚痴をこぼすような感じでいらっしゃって、『話すだけ話したらすっきりしたわ・・ありがとうね、マスター』といって明るい顔で帰ってくれるんです」

「男性のお客様は、そういうわけにはいかないんですね?」
「ええ、ぜんぜんダメですね・・・」

「単刀直入に伺いますが錦織さんはどうしたいんですか?」
「うん・・・売り上げは減らせないから、来るなとはいえない。これははっきりしています。でも、それ以外は、どうしたらいいか・・・まったく分かりません」

「男性客の嫌な点は、雰囲気が暗いということでしたね?」
「はい、そうです」

「他には?」
「会話にならないことでしょうか?私も聴かれたことには答えるけど、それ以上にはならない。議論は振られても、議論してはならない」

「議論をしたことはあるんですか?」
「議論に巻き込まれそうになったことはあります」

「お客様は不愉快そうだった?」
「不愉快と言うか・・苦虫つぶしたような表情だったけど・・・」

「お客様から話しかけられるのは、議論が多いわけではないですよね?」
「ええ・・」

「でも、かわしてしまうのはどうしてなんでしょう?」
「苦手意識があるのかな?」

「どうしてそう思ったんですか?」
「うん・・なんとなく・・・」

「なんとなくそう感じたんですね」
「うん・・・昔、サラリーマンのおちこぼれって言われたことが尾を引いてるのかな?」

「脱サラしてコーヒーショップを開いたころの評価が思い出されるの?」
「そうですね。サラリーマンを全うした彼らに、負い目と言うか・・・」

「うん・・・・深い心の闇を見せていただいた気がしますねぇ・・。その勇気に感謝します」
「そんな、勇気だなんて・・・」

「マスターの人生って、今何合目なんでしょう」
「え?」

「ごめんなさい、唐突過ぎましたね。人生を山登りになぞらえて考えると、今、何合目でしょう?」
「ああ・・六合目かな?」

「六合目まで昇った満足感は?」
「満足感は八〇点。いろいろあったからネェ・・よく頑張ったって思うよ。こんなこと、あんまり考えてなかったけど・・」

「では、六合目まで昇った充実感は?」
「・・・」

まったく予期しない質問に、マスターは長く沈黙し、考え込んだ後小さな声で「やっぱり八〇点」と答えてくれました。
ビジネスパーソンとしての人生を含めて、マスターの六二年の人生は、満足感も充実感もあるそうです。しかし、段階の世代といわれる同世代の人たちが、会社人生を卒業してくるのを見たとたん、自分の人生の軸を「他人」においてしまったようです。自分の人生は自分のものだからこそ、「自分軸」で生きることが大切であることを、この後三回のセッションで取り戻したマスターは、今ではお客様と元気よく議論することがあると言います。組織人だったビジネスパーソンは、組織から開放されたとたん、誰とも真剣に話す機会がなく、淋しい思いをしていることを、お客様から教えられたマスターの新たな接客サービスの一つになったのです。
男性は、とかく自分の感情を表に出したがりません。ここにコミュニケーションが上手くいかない理由があるのです。
お客様との議論は、勝ち負けではなく、相手の言いたいことを汲み取り、自分の意見も主張する良い機会として、他のお客様を巻き込むこともあり、午前中も活気ある雰囲気が取り戻せたそうです。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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