コーチング事例集:コーチ養成講座で実践的なコーチング技能と資格取得を。セミナー、研修、コーチングであなたの課題を解決

コーチング事例集

【再掲載】歯科開業医コーチングにふれました~コーチングを体験して自己を見つめなおす~


歯科医になって五年半。石川さんは念願の開業にこぎつけました。
勤務医としての経験を元に独立し、晴れて開業医となり最初は無我夢中で走っていました。このごろ、自分は技術者として患者さんの歯を治療する歯科医として活躍したかったのか、それとも歯科の経営者として行動したかったのかに迷いが出てしまいました。独立して開業しているわけで、技術者としての歯科医師としての自分と、歯科経営者としての自分との両面で仕事をしていかなければならない。また、それがやりたくて独立したんじゃないかとは思うのですが、自分には両立出来るほど時間にゆとりがない、才能がないと悩み始めました。患者さんの治療をしていても、ふっとそれが頭をよぎるようになり、適切な治療が出来ているのか不安にもなってきて、気持ちは落ち込む一方でした。

そんなとき、歯科医師会の会合があり、何か参考になることはないかと参加してみました。宴席であったこともあったせいか、「私は歯科医として患者さんのことを最優先に考えているんです。しかし、個人で開業しているわけで経営というものも考えなければならないんです。

歯科医としての自分と経営者としての自分とは、矛盾した関係であると思い、それは両立出来るはずがないと思うんです。どちらかを犠牲にしなければ成り立たないわけで、そうすると歯科医ではなくなってしまうんじゃないか、自分がとんでもない男になってしまうんじゃないかととても不安なんです」自分の心の中のわだかまりを、酒の勢いで話し出したところ、地域でもやり手との評判の高い橋本先生が話しかけてくれました。

「石川さん、ぼくもさぁ最初はそう思ったんだよねぇ・・。患者は少ないし、高齢者ばっかりで時間にゆとりがあるから、なかなか話に付き合うのが大変で、ともすると予約時間がだらだらになっちゃって、別の患者さんからのクレームで、受付に飛んでいって、平身低頭謝って。何のために苦労して歯科医になり、独立したかわからなくなっちゃったんだよねぇ」

石川さんは橋本さんの話にうなづくばかりでした。ただ、石川さんはこの時「橋本先生、なぜ、そんなこと僕に話すのかな?ずいぶんやり手の先生と聞いているけど、苦労話はいつ自慢話に変わるんだろう?」と、懐疑的に感じたそうです。

その後も、橋本先生は「石川先生は、どんな歯医者になりたいと思っているの?」とか、
「子供の患者って、どうしたら増えると思う?」など、日ごろ石川さんが考えていることを話したくなる質問ばかりをしてくるので、ついうっかり話してしまいそうになりました。しかし、石川さんは「橋本先生は、私のアイデアを盗みにきているのかもしれない」という不安が生じ、同業者はライバルだと思い始めたそうです。そのことが石川さんの口を重くしていました。

その夜は、橋本先生の質問に対して答えをあいまいにしたまま自分の部屋に戻り、一人、飲みなおしていたのですが、橋本先生の質問が何度も頭によみがえり、石川さんは、自分に向かって、「それは・・・」と、答えてみたそうです。

翌朝、どうしても橋本先生ともう一度話したくなり、石川さんは自分から橋本先生を探し、朝食を一緒にとりたいと、自分から橋本先生に話しかけてみました。

橋本先生は、石川さんの突然の申し入れを快く受け入れてくれたばかりではなく、穏やかに石川さんが話す夕べの質問に対する答えを聞いてくれていました。
石川さんの意気込む姿が落ち着いたころ、橋本先生はゆっくりした口調で石川さんに質問をしました。

「石川先生、先生は、昨日はお話しにならなかったのに、どうして今朝は私に話してくれる気持ちになったのでしょうか?」
あまりに率直な質問に、石川さんはどう答えたらいいのかわからずもじもじしていましたが、思い切って答えてみました。

「いやぁ、橋本先生、ほんとうに申し訳ないことですが、先生の質問に答えると、自分のアイデアをとられちゃうような気がしたんです。だけど、あの後、部屋で自分に向かってたくさん話をしたんです。『どうしたい、こうしたい、こういう思いもある・・』とね。今朝、橋本先生のお姿を探してまで話したくなったのは、どうしてなのかわかりません。しかしこれだけは言えます。夕べ考えていたことを今朝、橋本先生にお話したら、夕べ考えたより、更にアイデアが膨らむのを感じて、驚きを感じています」
と、石川さんは素直に橋本先生に話しました。

橋本先生は、「僕はね、実は、患者さんの話を聴くのが苦手でね。ず~っと、治療中黙って仕事をしていたんですよ。ところが、ある日、おふくろがこっそり治療にやってきて、びっくりしながらも、いつものように仕事をしたら、治療を終えた後にこう言ったんですよ。『歯医者はマスクをしているから、目線で話をしなくちゃならない。言葉にならない言葉で語るのは難しいねぇ。今のお前の眼は怖くて、見つめられると思わず眼をつぶってしまうよ。お前の考えているところを読み取るために眼で会話するどころじゃないよ』とね。それで、考えちゃったんだよねぇ」

そのとき、橋本先生は初めて、マスクで顔を覆ったまま、いかに患者とコミュニケーションをとったらいいかを考え、先輩の歯科医から患者とのコミュニケーションには相手の考えていることを引き出すコーチングが効果あるよと教えられ、コーチングを勉強し始めたことを教えてくださいました。

「僕に今、話をしたら、夕べのアイデアが更に膨らむように感じたって言ってたでしょ?これって、大事なことなんだよ。経営者としても、歯科医としても、僕らの仕事はとても孤独なんだ。誰かに話をすると、アイデア取られちゃうように思うその気持ち、僕にもよく理解出来るからね。だからこそ、コーチと会話する時間が必要なんだと思うよ。何でも聴いてくれるから話しているうちに、思わぬことを思いついて嬉しくなったり、こんなに人の口と心を軽くするなら、自分も聴き方を習おうと学習出来たりね。経営者としてとか歯科医としてとか、難しいことは後で考えるとして、どうだろう、とにかく患者さんからありがとうという言葉がもらえる歯医者を目指して、突っ走ってみたらいいんじゃないかな?と僕は思うよ。報われない努力はない。石川先生は、真剣に自分の仕事と向き合っていると僕は思うよ」と、言われ、石川さんは心が暖かいものでいっぱいに満たされたような気がしたそうです。

「日々の忙しさに流されないようにその日に感じたことを日記につけることも大事なことだから必ず日記をつけたらいいよ。それは自分を自分自身でコーチングすることにつながるよ。セルフコーチングって言うんだ。そして、それで感じたことを今日みたいに人に話すことが大事だよ」と橋本先生から最後に言われました。

人に話すことによって、更にアイデアが膨らむのがコーチングの醍醐味です。

石川さんは、患者さんとのコミュニケーションのとり方を橋本先生に習ったような気がして、気分がスッキリ晴れて今日も一日頑張るぞと思ったそうです。

竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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お父さんの家庭での立場~家族とお父さんのコミュニケーションを考える~


「こんにちは。どうしたの?珍しく暗い表情ですねぇ・・」
「うん・・どうもこのごろ子どもの気持ちが理解出来なくて」

「お子さんの気持ちが理解出来ないの?それはどんなことで感じたの?」
「急に優しくなったり、急に感情的になっていたり」

「そう、情緒が安定してないってこと?」
「情緒不安定。そうそう、まさしくそんな感じだね。女の子っていうのは、どうしてああ、感情で物事を捉えるのか僕には理解出来ない」

「男性と女性では、物事の考え方や感じ方が違いますからネェ。中学生でしたっけ?お子さん」
「ええ、そうです。二年生になって、ますます理解出来ないですよ。黙って帰ってきて、邪魔!とかって言われるし。ここは僕が立てた家で、休日に横になっていて何が悪い?って言うと、『何向きになるの?ばっかじゃない?』って言うから、「親に向かって馬鹿とは何事だ!」っと怒鳴ろうもんなら、食事もせずに部屋に上がってしまう。女房からは、『食事前くらいそっとしておいたら?』と言われる始末で・・」

「お子さんの心の中を色に例えると、そういう怒っているというか、感情的になっているときは何色だと思う?」
「難しいなぁ・・色ですねぇ?」

「そう、色」
「うん・・・黒かなぁ・・グレーかなぁ・・・」

「黒かグレー。色味が感じられないということですか?」
「そうですね。赤じゃなくてもいいけど、青とか、緑とか、はっきり目で見てわかる色ならありがたい」

「扱いやすいってことですか?」
「ええ、殺気立っていることはわかるが、原因がわからないのは困る」

「ところで、年頃の娘の感情とか心がわかると、父親と娘はどんな関係になれるのかしら?」
「?・・・・」

しばらく考えていますが、なかなか答えが出ません。

「理想的な娘との関係なんて聞いたこともないなぁ。第一、そんなこと聞いたら、自分の気持ち、悟られちゃうでしょ?」
「格好が悪いの?」

「娘の扱いがわからないと戸惑っていることを悟られるのはいやだな」
「うん・・・複雑そうですね。心の中」

「そうですね。自分の心が複雑なのは気づかなかったなぁ・・。複雑なのは、娘のほうだとばっかり思っていた」
「最初にね、機嫌のいい日もあるとのことでしたが、機嫌がいい日は、普通に会話出来るんですか?」

「ああ、そうですね。機嫌がいい日は、ちゃんと挨拶もするし、乱暴な言葉も使わない。でも、そういえば、会話じゃないですね。『ただいま、おかえり』『お風呂先に入るね、どうぞ』って具合かな?」
「会話じゃないですね。会話と言うのは、一つの言葉から、お互いの意思や感情を共有するために、膨らみますからね」

「そうなんだよねぇ、許可をとるとか、挨拶とか。そういえば、そんなことくらいしか言葉を交わさないなぁ」
「お嬢さんと、どんなことを話してみたいのかしら?」

「このごろ、どうだ?って」
「何をお尋ねになりたいの?」

「学校のこととか、部活のこととか・・・」
「学校のことや部活のこと以外には?」

「・・・」
「思いつきませんか?」

「思いつかないことに気づきました・・・」
「そうですね。何かを話したいというよりは、聞き出したいだけなんじゃないかなと感じました。でも、それで娘さんは話したいと思うでしょうか?たとえば、『お父さん、このごろ会社どう?』って聞かれて、お家で家族に話したいことってありますか?」

「そうだよなぁ・・言ったってしょうがないと思うし。愚痴になってもいけないと思うし」
「お嬢さんの情緒が不安定なことについて、奥様は心配されてるんですか?」

「いや、女房と娘はいろんな話をしてる。機嫌のいいときは」
「機嫌がいいときだけの会話かもしれませんが、それで奥様は何を感じていると思われます?」

「女房に聞いたことはないなぁ・・・」
「大谷さん、娘さんとの関係だけじゃなく、奥様とももう少し情報交換したほうがいいんじゃないかしら?」

「そうだなぁ・・。何か、わかったような気がする。僕は、自分の家に自分の心の居場所がないんだ。でもそれは、自分が家族とコミュニケーションをとらないからだ。でも、どうしらいいだろう」
「そうですね。今のお気持ちを、率直に家族に話されたらいかがでしょうか?」

「抵抗あるなぁ・・」
「勇気を出すためには、何が必要ですか?」

「うん・・・でも、せっかく家にいる時間が持てるようになったわけだしなぁ」
「私にお手伝い出来ることがあれば、させていただきますが・・」

「そうだ!お茶、飲みに来ませんか?」
「お茶をご馳走になれるのですね?」

「ええ、そうすれば、コーチを交えて会話が出来る」
「きっかけを作るということであれば、いい方法ですね」

「じゃ、早速家にいらっしゃいませんか?」
「ちょっと待ってくださいね。私は同じ主婦として意見があります。聞いていただけますか?」

「はい」
「主婦としては、急なお客様ほど対応に困ることがありません。たとえば、整理整頓が出来てないとか、お茶菓子がないとか」

「そういうもんですかねぇ・・我が家はいつも女房がきれいにしてますけど」
「でも、お客様を迎えるのは別ですよ。提案があるんですが・・・」

「どうぞ」
「カフェスタイルの喫茶店に奥様をお連れになったらいかがでしょうか?」

人にはいろいろな役割があります。
お父さんとして、夫として、息子として。
家族の中でも、二つも三つも役割をこなします。
それぞれにふさわしい役割の果たし方を考えてみてはいかがでしょうか?


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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日常会話2例、コーチがしゃべると・・・~何気ない会話をコーチング的に変化させる事例紹介~


1.お子さんのしつけは、保護者が責任をもって行いましょう
エスカレーターのベルトを、屈んで触って遊んでいます。

兄:「これ、面白いよな」
弟:「うん、お兄ちゃん、でも、お母さんに怒られないかな?」

兄:「大丈夫だって、こっち見てないし」
弟:「そうかなぁ・・・ぐるぐる回るね」

兄:「どんどん出てくるよな」
販売員:「ここで遊ぶと、危険だから、お母さんのところに行こうか?お母さんはどこにいるかな?」

兄:「あっち・・・」
販売員と一緒に売り場中へと進み・・

兄弟:「お母さん!」
販売員:「お子さんがエスカレーターのベルトで遊んでいらっしゃったのでお連れしました」

母:「ほら、だからダメって言ったでしょ?怖いおばちゃんに叱られっちゃったじゃないの、もう・・」
(途中省略)

販売員と一緒に売り場中へと進み

販売員:「お子さんがエスカレーターのベルトで遊んでいらっしゃったのでお連れしました」
母:「お手数をおかけしました。ごめんなさい。私が目を離したものですから」

販売員:「いえ、お怪我がなくてよかったんですが、これからはお気をつけいただけると助かります」
母:「はい、気をつけます」

(子どもたちに向かって)
母:「これから買い物の途中、あなたたちは待っている間どうしたらいいと思う?」
兄:「退屈だし・・・」

母:「そうだね。そうしたら、これからはおうちで留守番する?」
弟:「でも、パフェ食べたいし・・」

母:「そうだね。帰りにパフェ食べるのは楽しいね。でも、ママの買い物を待っているのはつまらない。どうしようか?」
兄:「あのさ、僕たちだけおもちゃ売り場で待ってたらダメなの?」

母:「離れ離れになると、心配だからそれはしたくないと思うなぁ・・」
弟:「じゃぁ、ママが買い物する時間を短くしたら?」

母:「そうだね。出来る限り、短くするように努力するね。あなたたちはどうする?」
弟:「なら、三十分だけは待つとか、ゲームとか持っててやってるとか?」

母:「なるほど、そうだね。それはいいね。売り場でゲームする場所あるかな?」
兄:「あっちに椅子があった」

母:「いつもいつも椅子のあるところでばっかり買い物するかどうかわからないけれども、少し離れても椅子があるところで、ゲームして待っててもらおうかな?」
兄:「うん、そうだね。そうするよ」

母:「よかったわ、エスカレーターで怪我しなくて。よくね、巻き込まれて怪我をするっていうニュースがあるのね。目を離したお母さんも悪いけど、これからはエスカレーターで遊ばないようにしないでもらえるかな?怪我をしたら悲しいから」
兄:「うん、ごめんね」
母:「いいよ」

2.どっちも頑固では家庭の中は暗くなります
妻:「ねぇ、この間話したあなたの転勤の件だけど、子どもたちのことを考えると、どうしてもみんなで一緒に動くことは無理だと思うのよ。あなた、単身赴任して欲しいんだけど・・・」
夫:「子どもにかまけて、お前が仕事を辞めたくないだけだろ?俺の会社は、単身赴任した人はいない。前例がない!いい加減にしろよ」

妻:「そうじゃなくて・・じゃ、転勤先に同じレベルの高校があるの?あんなに一生懸
 命頑張って入ったのよ?それとも何?、子どもたちだけおいていくっていうの?冗談じゃないわ」
夫:「論理の飛躍だね。そんなことは一言も言ってない。でも、とにかく前例がないんだからしようがないだろう」

妻:「じゃ、あなたが会社辞めれば?前例、前例って、未来に前例はないの!あなたが前例になればいいじゃない?それに、世の中とあわなければ、あなたが改善すればいいでしょう?」
夫:「うるさい!もう言うな」

(無言で食事を始める二人)

妻:「あなたと一緒になってから、ずっとあなたの転勤について、いろいろなところで生活出来たけど、今度ばかりは、ちょっと困ったと思うの。あなたはどう思う?」
夫:「そうだなぁ・・子どもも大きくなってきたからなぁ」

妻:「一番困るのは、高校の転校なんだけど、あなたはどう思う?」
夫:「そうだなぁ・・・あんなに受験、頑張ってきたのにな」

妻:「どうする?」
夫:「どうするといわれてもなぁ・・・転勤はもう決まったことだし」

妻:「ごめんね、二つに一つどちらかみたいに考えさせて。ねぇ、私の希望を言ってもいい?」
夫:「なに?」

妻:「あのね、半分、単身赴任ってどうかしら?」
夫:「どういうこと?」

妻:「平日はあなた一人で転勤先で生活して、週末や学校が休みのときは私と子どもたちがあなたのほうへ移動する」
夫:「3人で移動したら、交通費が大変だろう。それにクラブ活動とか、バイトとかあるだろう?現実的じゃないな?」

妻:「そうね。でも、これまでに単身赴任した人はいないんでしょう?あなたの会社での立場が悪くなっても困るわ。子どもたちの学費はかかるもの」
夫:「そうだなぁ・・・今すぐ答えは出せないと思う。もう少し、時間はあるから考えよう。会社にもそれとなく聞いてみるから」

妻:「そうね。よろしくお願いしますね。ご飯にしましょう。冷めちゃうわ」
(ふたり、和やかに食事のテーブルに向かう)


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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ファミリー・コーチング3例~親子のコーチングショートセッション~


今週は、なかなか難しいとされる親子のコーチングのショートセッションをいくつかご紹介します。
ファミリー・コーチング①
【生の会話】
高校1年生の息子を駅まで迎えに行った車の中で・・

母:「何?その声?風邪、ひどくなったの?」
息子:「違う、大きな声出しすぎた」

母:「まぁたぁ・・試合にでない応援団長をするためにクラブ活動に行って、朝早く弁当作って駅に送る私の身にもなってよ」
息子:「違う!僕は、3塁のコーチなの!僕がいないと、チームは点が取れない重要な役割なの。夏大(夏の甲子園地方予選大会)でゼッケンもらえる可能性が、一番高い役割なの!」

母:「あっそう・・だんだん、部員も減ってる
し、何とかなるの?」
息子:「減ったって言ったって四十人いるから、二十人に選ばれるのはたいへんなことだよ」

母:「確立は50%か・・・」
息子:(ただただ、黙って後部座席に深くもたれて座っていました)

【コーチングすると】
母:「声、ひどくかれてるね。何かあったの?」
息子:「うん、ちょっと大きな声出しすぎた」

母:「何があったから大きな声、出したの?」
息子:「うん、今日から僕は3塁のコーチになれた。塁を進めるとき、大きな声で指示を出すからね。僕がいなきゃ、チームの点は入らないんだよ」

母:「重要な役割を任されたんだね。嬉しいネェ・・・。頑張った成果が出てきたね?」
息子:「うん、夏大に背番号もらえるかも・・・」

母:「背番号もらうためには、今の役割を上手くこなせばいいの?」
息子:「うん、それだけじゃやっぱりダメだと思うよ。基礎体力とか、技術もいると思うし・・」

母:「何か手伝えることある?」
息子:「大丈夫。クラブでやればいい」
母:「そう、応援してるよ」

頭では理解しているのですが、やはり自分が疲れていたり、自分にとって不都合なことがあると、会話を楽しんだり、盛り上げたりする気持ちになれず、ついつい、会話をカットしようと
働きかけてしまう。

ファミリー・コーチング②
【生の会話】
中学2年生の息子が、玄関をピカピカにしてくれました

母:「ありゃぁまぁ・・きれいになったねぇ」
息子:「うん、靴は全部下駄箱へいれてね。また、汚くなると、運が逃げるから」

母:「お父さんにいいなよ。靴に泥つけて帰ってくるの、お父さんでしょ?」
息子:「うん、そうだけど・・・お母さんの靴も下駄箱へ入れるよ」

母:「あしたも朝、早くに出かけなくちゃならないから出したままにして!時間がないから」
息子:(黙って、靴を下駄箱から出し、隅のほうに置きました)

【コーチングすると】
母:「ありゃぁまぁ・・きれいになったねぇ、ありがとうね」
息子:「うん、靴は全部下駄箱へいれてね。また、汚くなると、運が逃げるから」

母:「そうだね・・・ずいぶん汚れたままだったもんね。よく気づいてくれたね」
息子:「うん、友達が来たとき、恥ずかしいから・・・」

母:「そうだね。どうせすぐ、汚れるからといって、手抜きしてたからね。きれいにしてくれて、どんな気持ち?」
息子:「気持ちいいよね。ほうきで掃いて、それから水を流して。でも、そんな時間かかってないんだよ。十五分もかからず出来たし。」

母:「いつ掃除してくれたの?」
息子:「朝早く起きた日。お兄ちゃんが出かけるときバタバタして目が覚めちゃったときに、そうだ!掃除しようと思って」

母:「そう、ありがとうね。お兄ちゃんの朝早いお出かけ、もう少し静かにしてもらえるといいね。お母さんからお兄ちゃんに話してみるね」
息子:「うん、このごろ、僕まで寝不足になっちゃうからね」

親子でゆっくり会話をする時間が楽しめると、心の中を共有することが出来るようになります。
頭では理解しているのですが、心や体が「時間」に追われて、ついつい一番大事なことに費やす時間を惜しんでしまうようです。
二人の息子ですが、ゆっくり会話する気持ちを持てば、彼らもそれに応えて話をしてくれます。
ワークライフバランス。難しいことですが、大切なことだと気づかされました。

ファミリー・コーチング③
(スーパーのお菓子売り場での親子の会話)
【生の会話】
母:「早くしないさ。どれか一つだけよ」
子:「うん・・・これとこれ、一つ買うのと同じ金額だから・・・」

母:「ダメって言ったでしょ?一つ。一つにならないなら、もうやめなさい。もう、置いていくからね、おうちに帰れなくなっても知らないからね」
子:「・・・・じゃぁ、これ・・・」
 (べそをかきながら、二つ手にしたお菓子のうちから一つを選び、とぼとぼとお母さんの後を追ってレジへ向かいます)

【コーチングすると】
母:「今日のおやつはどれにする?」
子:「これとこれ」(両手に一つずつお菓子を持つ)

母:「そう、二つとも好きなお菓子だね」
子:「うん・・いい?(顔色伺う)」

母:「二つ買ってあげたいと思う。でもね、今から二つ食べるとご飯が食べられなくなると思うのよね。今日は一つにして、明日また一つ買おうか?」
子:「うん・・・・でも・・・」

母:「それとも明日は買わないで明日の分も買っておく?」
子:「それでもいいの?」
母:「もちろん、それでもいいよ。ただ、明日は別のものが欲しくなるとお母さんはちょっと辛いかな?ほんとうに食べたいものをおやつにしてあげたいから」

子:「うん・・・」(迷い始める)
母:「さぁ、あと少しで帰らないと、おやつ買っても食べられなくなっちゃうといけないから、二十数える間にどうするかを考えようか?」

子:「決めた!今日はこれにするね」(一つを選び、一つを売り場に戻し母親といっしょにレジに向かう)


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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子育てで悩むお母さん~積極的なコーチからの働きかけによるセッションのあり方~


福山さんの子どもさんは中学1年で、自分は親父の後を継ぎ、会社を拡大するのが自分の使命であると口にするほど、ビジョンがはっきりしている男の子です。
ところが、そのビジョンがはっきりしていることで、彼の生活はクラブ活動中心の毎日になり、家に帰ればぐったり疲れて眠ってしまうと言う有様。勉強で評価されることに価値を見出していないため、宿題を提出するのは気の向いただけという状態で、保護者会に出席するお母さんの福山さんは針のむしろの上にいるような気持ちでいっぱいになるそうです。そこで福山さんは、コーチングを学んで、何とか子どもとのコミュニケーションにおいて、子ども自身に自分で気づかせようとしますが、なかなか現実はうまくいきません。
コーチング学習中の模擬演技では、感情を抑えて相手とかかわれるのに、現実に向き合うとうまくいかず、この日も落ち込んだ姿を見せまいと、必死に模擬演技をする福山さんを見て、コーチは学習後、セッションを促しました。

「福山さん、保護者会だったのね?」
「どうして分かるんですか?」

「お子さんとのセッションをしてみたいと、手を上げてくださったでしょう?お子さん役を演じてくださった森山さんとの会話、とっても現実的でしたよ」
「うちでは話し始めて五分でアウトって感じなんです。今何とかしないと・アヒルさん(2)の行列どころじゃない、煙突(1)がいっぱい立っているんですよ?」

「成績が良くないことが、心配なんですね」
「そりゃあ心配ですよ。このままではどうなってしまうのか・・・・」

「どんなお子さんになってもらいたいの?」
「勉強は普通でいいんです。どんな人生がいいかをしっかり決めている子なので、高い学歴は必要ないと思います。手先が器用であれば、今のうちの仕事は継げますから。でも、うちの仕事をつぐことと勉強しないことはつながってはいきません。学生は、勉強するのが仕事だし、学校の評価基準で評価されなければ意味がないのです。よく気がつく良い子だといわれても、それを評価する項目が、通知表にはありません。内申点に反映されません」

「評価してもらうことがそんなに大事ですか?勉強することにはどんな意味があるのでしょうか?」
「一般教養や知識をつけるためです。だからと言って、それが即、現実社会で役立つことは少ないと思います。特に我が家の家業に必要な知識は、『センチ』の世界ではなく『尺・寸』の世界ですから。
でも、それとこれとはやはり違う気がします」

「福山さんのお話は、いつも二つの視点でものを見ていることに気づいていますか?一つは、子どもを実年齢の中学生と言う立場でみる視点。もう一つは、大人になって家業を継いだときの視点。今は、どちらの視点で捉えたらよいと思っていますか?」
「・・・そうですね。今は中学生としての視点を持つことです」

「では、中学生としての視点から考えましょう。学校で学ぶことは、どんな意味があると教えたいですか?」
「評価されるという現実と、評価によって進学先が決まると言うことです」

「性格的な良い点は、どうこの話に絡めていきましょうか?」
「良い点はそのまま伸ばしたいので、いろいろな役割を言われなくてもこなせることはとてもいいことだと思うけれども、それを評価する項目がないことを、通知表を見せながら説明してやりたいと思います。」

「もう一度伺いますが、息子さんに何を感じてもらいたいんですか?」
「学校と言う社会では、勉強が出来るかどうかで評価が決まると言う現実です」

「そのために福山さんは、いつ、それをテーマに話し合う時間を持ちますか?」
「今度の終業式の日、成績表をもらって帰ってきたときです」

「どこで話しますか?」
「家の中です」

「だれか、他の家族を交えますか?」
「いえ、父親も交えないほうがいいと思います。家業を継ぐといってくれたことで、ほっと安心しきっているので、子どもの味方をして、まぁ、勉強はなぁ・・とでも言い出されたら困ります」

「お二人で話し合うんですね?」
「はい、二人で」

「どう切り出しますか?」
「いきなり、何、この成績は・・とはさすがに言えません」

「そうですね。では、どんなことからなら話せますか?」
「・・・・」

「一つ、提案してもいいですか?」
「はい」

「お子さんの性格が良い、よく気がつく子だと担任が評価していたことから話し始めたらどうでしょうか?」
「でも・・・褒めた後に叱ったら、余計にこたえるんじゃないでしょうか?性格の優しい子ですから」

「初めて、息子さんを褒めましたね?」
「え?」

「今、初めてお子さんを『性格が優しい子ですから』とおっしゃいました。私も嬉しいです。お子さんの良い点をちゃんと認めておられるのに、今日はぜんぜん、その話が出てこなかった。残念だと思っていました」
「・・・・」

「子どもの可能性って、無限大にあると思いませんか?」
「はい」

「それを引き出してやるのは、親や教師をはじめ、子どもとかかわる大勢の人の役割だと思うんです。ただ、我が子となるとどうしても厳しい評価をしがちになる。子育てに責任を持てるのは親だけですからね。真剣勝負だし、全身全霊をこめてのかかわりになるから、ついつい厳しくなりますよね?でも、自分の子どもと言えども、人格をもった一人の人間です。冷静に距離をとって、良い点と悪い点というように、両方を提示してあげると、本人が気づくことも多くなるのではないでしょうか?」
「・・・」

「お子さんに伝えたいことをもう一度、整理して考えましょう。叱る叱らないじゃなくて、『伝えたいことは何か?』というようにポイントを絞って考えると、福山さんの気持ちも整理出来ると思います。いかがですか?やってみられますか?」
「はい。やってみようと思います」

親業をしていると、記念日はプレゼントをする日で、もらう日ではないと考えて過ごしているのではないでしょうか?
子育てに、親のやる気や欲は必要です。と、同時に、感謝が必要ではないでしょうか?
元気であること。学校を嫌わずに通う根気を持っていること。学校で友達と協調して集団生活出来ていること。褒めるべき点、認めるべき点、感謝すべき点はあらゆる角度から眺めてみればどこにでもあるはずです。子どもから毎日たくさんのものをいただいていることに、感謝出来る日があるといいなと思います。


竹内 和美竹内 和美 (たけうち かずみ)
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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